No.056 飛び込み営業こそ自分の武器を磨く良い機会

飛び込み営業の目的

今回は、No.040の飛び込み営業に関する記事にあるように、飛び込み営業をした方が良いかどうかではなく、飛び込み営業をする前提の営業パーソンがどう心の整理をしておくと良いのか、についてお話しします。

上述の記事では、飛び込み営業の目的は情報を収集することであり、また営業活動全般に渡って以下に示す2つの意義があることをお話ししました。

①臨機応変力を見極め、そのスキルを磨く良い機会
②自社の魅力や価値を簡潔に伝える表現力を鍛える良い機会

 

では、改めて営業プロセスの視点で飛び込み「営業の目的」を整理します。

言うまでもなく営業パーソンにとって飛び込み営業の最終目標は、新規顧客と成約することとなります。

そのために、新規の顧客、つまり既存データベースには無い名刺の獲得を端緒に信頼関係の醸成、不信感の払しょくをしつつ営業パーソンが所属する会社が解決できそうな課題感の有無を見極め、具体的な課題を浮き彫りにする必要があります。

その課題を浮き彫りにするためにも、自社、そしてあなた自身の存在を知ってもらうことが第1歩となります。

つまり、飛び込み営業の目的「情報を収集する」とは、「『顧客名刺情報』と『課題』の2つを把握する」となります。

 

飛び込み営業に対する心構え

売る側の視点で飛び込み営業の目的を整理しました。

次に、買う側の顧客視点を踏まえて飛び込み営業をする上での心構えについてお話しします。

飛び込み営業を皆さんは、されたことはありますか?あるいは、電話による飛び込み営業、テレアポされたことはありますか?

もし、その経験があればそれを思い出して頂ければこのあとの話は分かりやすいはずです。

突然訪問を受けたり、電話がかかってきた時の状況や感じた気持ちはどうでしたか?

皆様の会社の事業課題や業務、ニュースリリースされた新サービスに関連して課題解決に関するヒントが得られるかもと思えたらどう思いますか?

とある社名や職種から以前飛び込み営業されて嫌な思いをしたことがあり、今回の営業も同業や同社名だが別事業会社から飛び込み営業があったらどのような反応になりますか?

そう考えれば、飛び込み営業を受ける側になにかを期待することは難しくまた筋違いだと分かるはずです。

あくまで飛び込み営業をする側で継続的に活動ができる仕掛けであり、心構えが必要なのです。

心構え

個人的な経験で言えば、訪問数全体の3割くらいの方々からは確実に断られます。一方で、1.5割~2割強の方はちゃんと話を聞いてくれます。

割合は業界業種により変わると思いますが、大事なことは必ず話を聞いてくれる人はいるという事実です。その人に出会えた時は、正直申し上げて嬉しくてたまらない、有難いと素直に感じられます。

ですから、まずは、飛び込み営業をすれば嫌な思いをするのは当たり前だと考え、まずは顧客を選ばず蹂躙するつもりで、訪問リストの上から飛び込み訪問リストを消していくことを目指す心構えで準備し、そして活動しましょう。

訪問リストに訪問して終わりではなく、成約に結び付けられる可能性の高い潜在(見込み)顧客を見出さねばならないのですから、そこに繋がる活動に早めにシフトして時間を掛けなければなりません。

むしろ効率よく見込見込み客を絞り込めることが大事であり、話を聞いてくれる2割の有難いお客様からどう課題を引き出せるのかに注目しましょう。

 

このような心構えがあるかないかが、飛び込み営業の実質的な成果を出せるかどうかを大きく左右するはずです。

 

改めて、飛び込み営業から得たい成果は?

ここまで、飛び込み営業をする上での心構え・考え方についてお話ししました。

ある意味ここでは、営業パーソンの価値観や生き様、エゴとぶつかってしまい譲れない。

では、飛び込み営業によって実のある成果を得たと実感できるものはなんでしょうか?

顧客の「課題」を確認できること。

確かにそう申しましたが、その前提として「顧客の関心を引くこと」が必要です。

どういうことでしょうか?

 

顧客が自認している課題を、飛び込んできた見ず知らずの営業パーソンに自らお話しすることは期待できません。

もう少し手前の顧客の心理状態を考えて見ましょう。

どのような話であれば、あなたは知らない誰かの話でも聞いてみようと思うでしょうか?

著者を含め、この記事を読んでいる人であれば言うまでもありませんね。

営業パーソンとして自分が不足している点、もっと強化したい点についてアドバイスや知恵について聞いてみたいと思うでしょう。

「営業プロセスの中で何が問題なのかうまく整理できていないのでそのサポートをしてほしい」と思っていれば、相談に乗ってくれそうな人の話には耳を傾けるでしょう。

あるいは、競合案件に直面した時に、顧客側の何を把握すれば競合状態を解消できるのか悩んでいる人にはその経験を持っている人と意見交換したいと思うでしょう。

人間関係、プライド、物理的に遠隔にいるなど様々な理由で同僚や上司には敢えて救いの手を求めにくければ、社外に相談できる人を求める人もいるでしょう。

 

つまり、顧客にとって「ん?」、「なになに?」、「もう少し聞いてみるか」、「コイツ、何か知ってそうだな。。」と思わせる話、ネタやストーリーであれば、不信感は持ちつつも興味を引くはずです。

そうやって、顧客に自社の取組みに対して興味・関心を持ってもらうことができてはじめて次のステップに進めます。

 

顧客が気になるのはいつでも同業他社が何をしているかだ

では、顧客の興味・関心を引くのはどのような内容のものでしょうか?

顧客が知り得ていない「知恵」や「ノウハウ」も正解かもしれません。

より踏み込んで、「そのままにしていては不味い状況」あるいは「あるいは新たな取組みが生み出すより良い状況」と言った方がよいかもしれません。

つまり、下記のいずれかに関する話が身近で起こっていることと分かれば耳を貸さざるを得ないのではないでしょうか。

  • 現状維持によって生じるビジネスへのネガティブなインパクト
  • 現状変更により生じるポジティブのビジネスインパクト

ここで言う「身近で起こっていること」とは、同業他社や類似企業の成功事例、最近訪問した企業の似たような立場の面会者との会話で確認できた内容のこと。

このような事例や現場の生の声は、ネットで調べても出てくる話ではないことが多いため、どういう立場の人であっても聞く耳は持ちやすいものです。

それが、大企業の担当者や中堅企業の事業部長であっても、まして小規模事業のオーナー・経営者であってとしても。

例えば、こんな風に話を切り出してみる。

「。。。〇〇で、お悩みかと思いまして。といいますのも、先週訪問した同業の▲▲社でも〇〇でお困りのお話し聞きましたものですから。(敢えて沈黙し、間を取る)」

「御社と同じくらいフランチャイズを持つ会社様でお話を伺った時に、そこの社長様が●●について手を付けずにいた結果、相対的に××を招いてしまったという話をしておられまして。(敢えて沈黙し、間を取る)」

他業種でも事例があればその内容を元に例え話を作ることはできるはずです。

ここで示した同業他社の「お話」を交えたオープニングトークが、飛び込み先の中から必ずや見込み顧客を見出す鍵の一つになるはずです。

そして繰り返しますが、このトークは、飛び込み営業だけでなく、既存顧客との面談でさえも十分活用し、面談者の上長と接点をつくるきっかけにさえなるものであり、まさに営業パーソンとしての強力な「武器」の一つになります。

この武器に磨きをかける、その数を増やすしていくことが営業パーソンを支えになるはずです。

 

まとめ

今回は、営業パーソンの武器を磨く機会として飛び込み営業が良いというお話をしました。

改めて、飛び込み営業の目的、得たい成果について整理してお話ししました。

嫌な思いをしてでも将来の優良顧客になりうる見込み顧客を見出すには、心構え・考え方を変えて取り組むことが大事であることお話ししました。

更に、不信感でいっぱいの顧客からほしい情報を引き出すには、それを押しのけるほどに興味・関心を引く同業他社の置かれた状況を交えた共感を得られそうなお話を切り出すことが重要であり、そのストーリーを事前にしっかり練っておくことが鍵になるとお話ししました。

 

今回も、最後までお読み下さり有難うございます。