No.024 情報収集力 – 確実に成果を出し続けている営業パーソンが持っている3つのスキル ミニシリーズ第1弾
本記事から3回に渡って営業パーソンが持っている3つの重要なスキルについてミニシリーズ形式でお話しいたします。
ミニシリーズ第1弾は、「情報収集力」。
情報を収集する力とは?
ビジネスにおいて「人間力」と言う場合、大きくは以下の3つに分類されると言われます。
1)知的能力要素・・・・・・・・思考・想像力、ツールを使いこなす力
2)社会・対人関係力要素・・・・表現・コミュニケーション力
3)自己制御的要素・・・・・・・意欲、忍耐力、自分らしい生き方や成功を追及する力
特に、営業という枠で見た場合には、「情報収集力」はこれら3つの能力要素をベースに営業効率を高めるために重要なスキルではないでしょうか。
では、なぜ高い情報収集力が重要なスキルとして必要なのでしょうか?
それは、営業の役割を考えれば当然と言えます。
営業は、顧客を幸せにすることが使命です。具体的には、顧客が抱えている課題を解決するための手段を提供することです。
そのためには、どのような状態を目指しているのか?その到達を阻む課題がなんなのか?を見極める必要があります。
見極めるためには、まず現在の状況そしてこれまでの取組みを把握することが不可欠です。それらを把握するには、顧客から情報を集めることが基本となります。
つまり、情報収集力は取り立てて注目するほどではない基本的ないと同時に、最も重要なスキルであり着実に身に付けておかねばならないスキルでもあるのです。
裏を取って初めて意味のあるものが「情報」
顧客から聞いた「情報」は生ものです。つまり、発信者そして受信者によって情報の意味は少しずつ変化して伝えられることは十分考えられます。同時に、時間と共にその意味合いも薄れたり変化もします。
また、情報の質の点で、事実なのか、意見を含むのか、はたまた推測が含まれるのかは一概には判断できかねません。
そこで、得た情報を多面的に確認することでその情報の確からしさや背景そして意味合いをしっかりと掴むことができます。
刑事ドラマ的に言えば「裏を取る」、でしょうか。
このことを踏まえると、窓口の担当者の方からの情報に加えて、社内の利害関係者、競合企業、顧客企業の取引企業等々からも話を聞く事が不可欠となることが分かります。
相手から欲しい情報を引き出すには?
では、裏を取るためにどのように聞き出したい情報を引き出せばよいのか?
多面的に情報を獲得するためには、様々な立場の様々な人とコミュニケーションし、そしてその相手から自分にとって有益と考える情報を引き出す必要があります。
身近な親族、友人・知人であれば比較的敷居は低いでしょう。
では、必ずしもそういった人間関係ではない仕事上の関係にある人から情報を引き出すことが難しいのはなぜでしょう?
主な理由は、以下の2つです。
1)信頼関係がない、あるいは十分でないから (個人的な利害のバランス不一致)
2)情報を提供するメリットがないと考えるから(職務上の利害のバランス不一致)
そこで、このアンバランスな状態を積極的に解消すべく取り組むことでし双方に利益があると考える状態をつくることが必要になります。
欲しい情報を引き出す2つのコツ
その取り組みに関する基本的かつ重要なコツを2つご紹介します。
1)雑談力
2)質問力
それぞれを見て行きましょう。
欲しい情報を引き出す コツ1 – 雑談力
まず、「雑談力」です。
分かりやすく言えば、相手の心の壁をなくすためのスキルといえるでしょうか。
利害関係にアンバランスがある時には、相手は警戒し不要に余計なことを話す心理状態にはありません。
その状態を無理なく変えるためには、下記にあげたポイントでコミュニケーションを図ることが有効となります。
- 相手が喜ぶ話題を振る
- 素朴な疑問を投げかける
- 共通の話題を振る
もちろん、仕事上のコミュニケーションですから、事前に相手の企業、属している業界動向、中期経営計画、ニュースリリースなどに目を通して、どのような点を話題にするか情報収集しておかなければならないことは言うまでもありません。
それらをヒントに、目の前にいる話し相手の業務あるいは所属する部門に関連させて、相手の置かれている状況を理解し、そして共感しようと努める。
それによって、相手も少しずつ「お、この人は興味をもってくれているのかな」とか「私のことを理解してくれるのかな」といった気持ちが生まれてくるはずです。
あるいは、プライベートの趣味や嗜んでいるスポーツ、時事問題を取り上げて、オープニングで話題に対する反応を見て相手のコミュニケーションに対する姿勢を予測して、会話の展開やペースをリードすることで、居心地の悪さを解消してみる。
このような取組みが功を奏したと思えば、次のステップとしては、相手に「役立ちそうな」情報の提供へと展開させる。つまり、ギブアンドギブンのギブを試みる。
このような流れを想定して、様々な雑談の話題・ネタ情報を常に頭の中で用意しておいて、機を見て活用(ギブ)することが相手からの信頼を得る上で、そしてそのお返し(返報)として聞きたい情報を相手に話してもらう上で重要となります。
欲しい情報を引き出す コツ2 – 質問力
2つ目は、「質問力」。
1つ目の「雑談力」と密接に関連しておりますが、スキルとしては「雑談力」が臨機応変に対応できる豊富な話題・ネタがあるかどうかを求められるのに対して、「質問力」は、どのように持っている話題・ネタの相手への問いかけ方に関するスキルと言えます。
このスキルを身に付けるために大事なことは、いかに事前に会話のシナリオ(簡単な段取り)そしてどのような質問をするかをを想定しておけるかです。ここでは、質問のポイントを3つあげました。
1)話す相手(人物像)の理解
2)相手に気づきを与えるような5W1H
なにを?(What)
どのような背景・理由で?(Why)
だれが?(Who)
どのような機会に?(When)
場所は?(Where)
どのような手段で?(How)
3)顧客の潜在ニーズを顕在化させ、商談の成約のみならず信頼関係の構築へと導く質問手法(SPIN話法)
S:状況質問(Situation) 現状を理解する
P:問題質問(Problem) ニーズの明確にし、気づかせる
I:示唆質問(Implication) 問題の重要性を認識させる
N:解決質問(Need payoff) 理想の状態をイメージさえる
例えば、1)や2)に関連して。
働いている人は多かれ少なかれプレッシャーの中でストレスを感じています。生物学的には、このストレスは解消することが生き抜く上で必要になりますが、そこは現代社会でもそうはさせないのが世の常。
そこで、人はそのストレスを開放させる手段の一つとして不快や不満に感じる状況を言葉で口にして外に吐き出すことをします。ここから転じた、「人は話したい、聞いてもらいたいものだ」という表現を耳にすることはあるはずです。
つまり、この人の置かれている状況に手を差し伸べようとすれば、そのことだけでも人は有難い、感謝の気持ちが生まれるものです。自分自身を振り返ってみて、どういう質問・問いを投げれば人はそのような気持ちになるのかを考えれば敷居の高いことではないはずです。
それぞれは、また広く深く話すことができるテーマになりますので、詳細は次回の記事で記述するとして、どのような質問を投げかけるべきなのかを考えるヒントにはなるはずです。
この取り組みは、場数を踏んで身に付けるのが早いと思います。それまではヒアリングシートなどを準備して面談に入ることをお勧めします。
最後に、補足ではありますが、個人的な利害関係も合わせて構築していくことを考えれば、面談できた際には必ず当日か遅くとも次の日にはお礼を兼ねてフォローの連絡を入れることは忘れない様にしましょう。
まとめ
今回は、ミニシリーズの第1弾として「情報収集力」についてお話ししました。
初めに、「情報収集力」とは、顧客が抱えている課題を解決するためどのような状態を目指しているのか、そしてその到達を阻む課題がなんなのかを見極めるための事実を集めることだとお話ししました。
次に、情報収集力を必要とする背景・理由についてお話ししました。営業パーソンにとっては、この力こそ基本的かつ非常に重要なスキルと認識しておくべきだとお話ししました。
更に、情報収集力を高める上で核となる「雑談力」と「質問力」という2つのスキルがあることをお話ししました。
具体的には、「雑談力」で顧客の心理的障壁を下げる工夫をして利害関係を構築しあっても良いと感じてもらいます。同時に、「質問力」を活かして必要な情報を得るために周到に用意された的確な質問を投げかけて、顧客の置かれている状況を的確に把握できるよう努めることをお話ししました。
次回のミニシリーズ第2弾は「ヒアリング力」についてお話しします。
今回も、最後まで読んで下さり有難うございます。