No.020 マーケティングの歴史

多くのマーケティングの最終的な目標は、その活動を通して製品やサービスの売上を拡大することと定義されます。

今回は、そのマーケティングの変遷についてお話ししてみます。

マーケット  = お客様が集まる分野、市場
マーケット + ing = 市場を開拓してお客様を創ること

 

マーケティングの起源

マーケティングの起源は、三越の前身「三井越後屋呉服店」(越後屋)」にあったと言われる。

1650年ごろ創業した越後屋の商売には、商品展示、販売、接客、広告宣伝、そしてブランディングまで、現代のマーケティングの萌芽を見いだすことができるようです。

詳しくは、以下資料などをご参考ください。

ー 『全史×成功事例で読む「マーケティング大全」』(酒井光雄、武田雅之著、かんき出版)
ー 『三井越後屋のビジネス・モデル―日本的取引慣行の競争力』(武居奈緒子著、幻冬舎メディアコンサルティング)
ー 三井の歴史|三井広報委員会

 

近代から現代まで

時代は飛んで、1900年代初めに「マーケティング」という言葉が登場したと言われています。

そこから現代に至るまでに、その意味合いや目的が少しずつ変化しながら様々な手法が誕生してきています。

一方で時と共に「マーケティング」が何を指すのかが分かりにくくなっていることもあり、売れるしくみを作るために何をするかは曖昧だったり、一意に確定するもはなくなってきたと言われます。

そのため、1950年代に体系化された、以下の2つのマーケティングに関する考え方がベースとなり現在でも基本的な基盤として重宝されています。

経営学者 フィリップ・コトラー マーケティング論
心理学者 アブラハム・マズロー 自己実現論


そこで、ここからはマーケティングの権威であるフィリップ・コトラー氏が考えたマーケティングトレンドに基づき歴史を振り返ってみます。

 

20世紀のマーケティングトレンド

マーケティング1.0
 製品中心


1900年代から、第二次産業革命を皮切りに大量生産・大量消費の時代が始まりました。マーケティングの目的は、コストを抑えて製品を作り、多くの人に販売することだった。どんな製品も、作ったら作った分だけ売れていた。

代表例:フォードモーター社のT型フォード

 

マーケティング2.0
 消費者志向


1970年代から主流になってきた。
経済発展とともに同じような製品・サービスが並ぶようになり、製品の機能をアピールするだけでは売れなくなってきます。
また、公害や健康障害の問題も生じ消費者の購買力が落ちてきました。
更に、オイルショックによる物価の高騰で経済は打撃を受け購買行動は増々慎重になりました。

このころから、マーケティングの目的は、いかに顧客を満足させてつなぎとめるか に変わってきました。

顧客と製品をセグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)の3つの要素で分析し、他社との差別化を図る取り組みが進みました。

80年代に入ると、顧客リレーションシップマーケティング、バリューチェーン分析や3C分析などの手法も出てきました。


マーケティング3.0
 価値主導

1990年代に入ると、第3次産業革命の1つと言われるインターネットの登場により世の中が大きく変化してきます。

人々は、インターネットから様々な情報を手に入れることができるようになり、お互いにインターネットを介して繋がるようになりました。企業とも直接つながるようになり、生産者である企業と消費者の関係が大きく変わりました。

2000年代に入るとソーシャルメディアが登場し、企業はSNSを通して顧客と繋がる活動に力を入れるようになりました。

商品・サービスの機能や品質だけでなく、それらを利用することで自分自身がどのような便益を享受できるのかという視点で選択するようになりました。

それに合わせて、企業は会社の存在意義や社会・環境への影響などの商品・サービス以外の価値を含めて提供することを目的としたマーケティング活動が盛んになりました。

つまり、マーケティングの目的は、「社会は顧客との関わりを深める企業活動」に変化しました。

このころから「ブランディング」というマーケティングのコンセプトが中心になっていきました。


マーケティング4.0へ
 自己実現の時代

2010年ごろからのマーケティングは、「自己実現のマーケティング」と言われるようになりました。

消費者の、自分があるべき自分になりたいという自己実現欲求に焦点を当てた、「顧客一人ひとりに合わせた価値提供や宣伝活動」がマーケティングの目的となっていきました。

その意味で、今後は増々ITを活用したパーソナルマーケティングのアプローチが重要視されていくと予想されています。


ここでいう、「自己実現」という言葉は上述の心理学者アブラハム・マズローの欲求5段階説という自己実現理論で登場する考え方から来ています。

 

まとめ

この記事では、おおざっぱにマーケティングの歴史を振り返りました。

古くは、1650年ごろから現代のマーケティングの元になる、越後屋が実践していた販売活動、顧客との関係構築活動に始まりました。

時と共に、商品・サービスを提供する側は、それらを欲しいと思っている消費者ニーズの変化に合わせてに的確に届けようと様々に手法を変えて活動してきたことをお伝えました。

これからも、生き残りをかけて企業は消費者のニーズの変化を敏感に捉えて、それに合わせてマーケティング活動を変え続けていくことが求められます。

これから取り組もうとしている人も、今からでも遅くありません。過去から多くを学ぶことはできるはずです。

この記事がその第一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。


今回も、最後まで読んで下さり有難うございます。

 

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