No.031 企業の歴史

最近、事業継承の一環で事業を次代に相続するタイミングで事業支援に関わることがあり、「相続」について学ぶ機会がありました。

そこで、令和2年最初の記事は、企業の歴史についてお話しします。

 

「企業」って?

一般的に「会社」や「企業」と言えば、皆様自身や知人が務めている「会社」をイメージして会話で利用していても意思疎通はできます。

ただ、厳密には言葉の意味合いがことなりますので、整理の意味で確認しておきます。


企業とは
個人が営んでいる事業や集団で資金を募って形成された組織などの経済的な活動をしている主体のことを「企業」といいます。

 

法人とは

利益や公益などを目的に形成された、法で主体性が認められた組織のこと。私法人と公法人に分類されます。

「一般法人法」及び「会社法」に基づき公法人または私法人が設立されます。

また、「番号法」に基づき行政手続における特定の法人格を識別するための「法人番号」が指定されます。

 

会社とは

法人の中でも特に営利目的のものを指します。

「会社法」に基づいて設立された私法人の中の営利法人に分類されます。


上記の説明のように、企業 > 法人 > 会社 という順に意味合いが狭くなっています。

 

企業の起源

つぎに、企業がいつごろから出来たのかを見ていきます。

まず、今日現在日本国内企業の平均寿命(創業から倒産するまでの期間)はどうでしょうか。

2017年度は、24年弱となっています。

ちなみに、アメリカでは2015年時点で15年となっています。

また、創業200年を超える企業についてはどうでしょうか。

世界におよそ4000社あるうち、6割弱が日本企業となっています。日本に続いて、ドイツ、オランダそしてフランスの順に多いようです。

さらに、創業1000年を超える企業になると世界でも12社ほどしかなく、日本にはそのうち7社もあります。

ご参考までに、老舗企業のトップ3社をご紹介します。

1)金剛組 578年創業(大阪府天王寺区)

  • 寺社建設
  • 聖徳太子に招聘された百済人、金剛重光が設立
  • ムハンマドがイスラム教を始めた時より前。

 

2)池坊華道会 587年創業(京都府中京区)

  • 生け花・華道
  • 六角堂の創建した587年に華道の家元でもある池坊が住職を務め始めたと伝えられている。

 

3)慶運館 705年創業(山梨県南巨摩郡)

  • 旅館経営
  • 世界最古の宿
  • 武田信玄のほか徳川家康も2度にわたって訪れた記録も残る

 

海外の老舗企業も一社ご紹介しておきます。

シュティフツケラー・ザンクト・ペーター(Stiftskeller st.peter)803年創業 (オーストリア、ザルツブルグ市)

  • レストラン経営
  • 世界最古のレストラン

 

日本にの老舗企業が多いのはどうして?

このように、日本は世界の老舗大国となっています。

その秘密はどこにあるのでしょうか?

答えは、有史以来長らく続いている富をめぐる権力争いで有利に権力を勝ち取るあるいはむやみな争いを避けて生き残る術として生まれてきた工夫といえます。

それが、家督相続

家督相続の基本的は以下の通りです。

家の世帯主(現代の戸籍筆頭者)が亡くなった場合、長男が家長権(家族とその構成員を統率する権力)および義務を一人で継承・相続するというものです(本来長男だけとも限りませんが、何も指定がなければ基本長男が継ぐことになります)。

権利だけでなく義務がセットになっているのが面白いところで、家督継承者は原則家族の生活を相続した財産で保障しなければなりませんでした。

加えて、長男は経済的基盤である「家業」を継承し、父母を扶養するとともに、先祖代々の墓や仏壇を守り、最終的に自分がされたのと同じように、自分の嫡子長男にその地位と権利義務を引き継がさせる責務を負っていたわけです。

 

このように、家の存続を図ろうとするうえで財産の一部である実業も継承してきたために長らく企業が存続する企業が少なくないわけです。

もちろん、皇室の存在も大きく寄与したはずです。

欧米と異なり、身分差別や部族や王(家)同士の争いの結果一方が殲滅させられるような文化の影響をほぼ受けませんでした。

そのため、分業化して多種多様化した職人さえも差別されることなくそれぞれが家業を後継者に引き継ぐことができたことも要因だったと考えられます。

 

家督相続の歴史

老舗大国の要因の一つ、「家督相続」という社会の基本的な仕組みについて、少し詳しくみてみましょう。

改めて、

まず「家督」とは、「家長権」すなわち家族とその構成員を統率する権力のことです。

また、もう一つ「財産権」とは、財産を目的とする権利のことです。

現代でいうところの、物権(物を直接的に支配する権利),債権(特定の人にある要求をする権利であって第三者には権利を主張できない相対的な請求権),知的財産権などを表します。

 

家督相続の発想は、村社会が発達し国が生まれた弥生時代あたりから始まり、鎌倉時代には全国広まったと言われています。

家長権は、長男が単独相続し、また遺産(財産)は家族の構成員の間で分割相続が原則とされたようです。

江戸時代からは、家督は、家長権に加えて、その家が営んでいる事業(家業)や財産、権利(債権、負債)のすべてを含んだもの示すようになりました。

この考えは、徳川家康が提唱し「家制度」という法として確立されました。それまで絶えることのなかった無用な相続争いが避けられるようにという合理的理由からでした。

明治時代になると、家に対する家督(=家長権)は「戸主権」として民法の中で規定された。

家長である「戸主」が亡くなれば、その戸主が持つ権利および財産のすべてを次の戸主に引き継ぐ、これを家督相続としました。

これ以外に、戸主の立場でないものが亡くなった場合の遺産相続の制度も存在しました。現代における遺産相続とほぼ同じものです。

第2次世界大戦後、GHQの占領政策により日本国憲法24条の法(家庭生活における個人の尊厳と両性の本質的平等について規定)に反するとして、家督相続の制度は廃止になりました。

こうして、現在では遺産相続のみが制度として残りました。これは、民法で定められています。

 

今や少子化が進んでおり、親や親族、つまり家のつながりもかつてに比べて希薄になりました。

そんな中親が残す遺産を継承していくことの意味を考える機会が確実に増えており、身近になっています。

もちろん、土地、財産など目に見える価値をどう相続するのかを考えなければいけません。

同時に、「事業」といった見えないものに目を向け、なにを継承してどのような未来・後世を描きたいのか、「生きざま」みたいなものについて思いをめぐらす機会にもなるのではないでしょうか。

そして、「相続」という仕組みをきっかけに、個人個人が、なぜ働くのか、あるいはどのような人生を送りたいのか、果ては一員としてかかわっているコミュニティや日本がこの先どのような社会であってほしいのかを考えるきっかけになるのでは。

 

まとめ

今回は、企業の歴史を振り返ってみました。

日本は、老舗企業を多く抱える国柄であることを例証しました。

そこには、古くから社会に組み込まれた家督相続という仕組みが重要な役割を果たしたことをお話ししました。

 

今回も、最後まで読んで下さり有難うございます。

 

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