No.044 応酬話法の極意 3/3
今回が、応酬話法の極意シリーズの最終回です。
前回に続いて以下の2つの応酬話法についてお話します。
(5)質問話法
(6)否定法
これらは、それぞれ特徴的な話法ですので、早速具体的に見てみましょう。
6つの応酬話法(続き)
(5)質問話法
共感を示して寄り添い、質問しながら商談を進めることで、顧客から好感や信頼を勝ち取る「質問話法」です。
いくつかの質問を使って掘り下げることで、断わりの本当の原因を明らかにしていきます。
顧客自身の迷いや不安をはっきりさせ、顧客自身の欲求を認識していただくことができるメリットがあります。
質問例
「確かにそうですよね。ちなみに、〇〇とは、具体的にはどういうことでしょうか?」
「そういうことでしたか。差し支えなければ、〇〇となった経緯をお伺いしてもよろしいですか?」
「なるほど。その〇〇についてもう少し詳しく聞かせて頂けますでしょうか?」
【質問話法の会話例1】
(前提:飲食店に費用対効果が高い新たな集客ソリューションを提案するべく飛び込み営業)
顧客:「うちは開店してまだ2カ月だし、グルメサイトの契約をしてネット集客始めてるから今は必要ないよ。」
営業:「なるほど。開店当初から集客体制も充実させているんですね。差し支えなければ、グルメサイトの集客効果についてお伺いしてもよろしいでしょうか?」
顧客:「まあ、開店してまもないし悪くないよ」
営業:「順調といったところですか?」
顧客:「そうね。今のところはね。」
営業:「この先について、何か気になることでも?」
顧客:「まあ、この業界はご存知の通りあきられやすいからねぇ。。。」
営業:「確かに、そういう側面はあるかもしれませんね。なにか、グルメサイト上の集客ではどんな工夫をされていますか?」
顧客:「工夫? そんな時間ないよ。厨房・接客で忙しいんだから!」
営業:(チャンスかも?)
【質問話法の会話例2】
(設定は、上記の例1と同じ)
顧客:「ネットにお金使ったから、ほかに使えるお金はもうないよ。」
営業:「なるほど。ネットは今や主流の集客方法ですからね。ちなみに、ネット以外ではどんな取組みはされていますか?」
顧客:「あと、チラシと看板。そこに見えてるのあるでしょっ!(ちょっと不快感を出す)」
営業:「大変失礼しました。チラシ、看板は不可欠ですよね。チラシ、看板の効果はどうですか?」
顧客:「最近は、まあまあかな。。」
営業:「まあまあ、ですか。チラシ、看板を含めた集客では日々どんな工夫をされていらっしゃいますか?」
顧客:「工夫ねぇ。(ちょっと、間がある)」
営業:(チャンスかも)
顧客の問題に寄り添って解決するお手伝いをしたい、一緒に考えたいという姿勢を示すことが大事です。それが顧客に伝わって顧客の心を掴むことに繋がるはずです。
そもそも、顧客の話はもちろんのこと、顧客(話者)や顧客企業に関心を持つことは、営業パーソンの基本的な姿勢と考えなければいけません。
(6)否定法
次に、名前の通り正面から反論あるいは否定する「否定法」です。
一見、どうかな?と思えますが、顧客に理解不足や誤解がありそうなときにきっぱりと否定することで、正しく理解してもらい安心感を与える応酬話法です。
多くの場合、「ご安心ください」「大丈夫です」のような表現を交えて柔らかい印象を与える工夫も必要です。
本来顧客の意見を直接否定することは避けた方が良いですので、使用するタイミングは見極めましょう。
【否定法の会話例1】
(前提:工作機械メーカーに費用対効果が高い新たな設備診断ソリューションを提案営業中)
顧客:「修理交換のたびにサービスマンが来てくれて対応するけどバカ高い修理代取られるでしょ?」
営業:「その点についてはご安心ください。設備診断の導入費用にふくまれておりまして、毎月の診断データバックアップ費に含まれており、別途費用は一切かかりません。」
【否定法の会話例2】
(前提:スマホ製造メーカーに検査システム構築ソフトウェアを提案営業中)
顧客A:「このソフトいいんだけど、スキル習得の研修費用が別に掛かってしかも相当高いよねえ。」
営業:「A様、そのようなことはございませんので、ご安心ください。このソフトウェアにはサービスプログラムが1年間分付与されておりまして、その中に最低限のスキルを身に付けて頂くための研修費用が含まれております。加えて、使い方や機能について分からないことがある場合、何度でも技術サポート部隊にお問合せ頂くことができます。」
まとめ
今回は、2つの話法についてお話ししました。
(5)質問話法
(6)否定法
まず、質問しながら商談を進めることで、顧客から好感や信頼を勝ち取る「質問話法」をご紹介しました。
次に、顧客に理解不足や誤解がありそうなときにきっぱりと否定することで、正しく理解してもらい安心感を与える「否定法」をご紹介いたしました。
以上、シリーズで6個の応酬話法をご紹介してきました。
いずれも、顧客に寄り添い、顧客と同じ視点・立場に立って、一緒に問題解決しようという姿勢を前提としたコミュニケーションの手段です。
相手がどのように受け止めるかは、想像はできても相手の心の奥底をのぞき込むことはできません。
日ごろから、上司、同僚や部下あるいは友達や家族に対しても「親しき中にも礼儀あり」の姿勢で臨んでいれば、商談においてもご紹介したスキルを発揮しやすくなり、案件創出率、しいては成約率をきっと高めることができるはずです。
是非、今日から応酬話法の練習と実践をはじめましょう!
今回も最後までお読みくださり有難うございます。