No.046 商品・サービスの機能や特徴で営業をしてはいけない3つの理由
営業パーソンの新人の多くは、社内研修で社会人としてのマナーに加えて自社の商品・サービスを学びます。会社によっては、マーケティング、簿記や経理、財務の入門編も学びます。
研修後は、OJT(On the Job Training、オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の一環でメンターや先輩について顧客を回る日々が始まります。中途入社であればあまり心配はありませんが、新入社員の場合には初めのうちは名刺交換にも手間取ることもあるでしょう。
同行訪問の時期が過ぎれば、一人で飛び込み電話・営業あるいは既存顧客を足繁く回ることになります。
早速、研修の成果を発揮しようと顧客訪問をすると挨拶もそこそこに新商品の紹介に始まり、こんなことができるサービスがありますが如何でしょうか?と製品に関心を示すかどうか反応を見るような面談をしていませんか?
商品・サービスの機能や特徴を話すとどうなる?
新製品が出れば、営業パーソンが直接顧客に紹介することは重要であり会社としても認知度向上のためには必要な活動です。
但し、顧客がそれを必要とする場合に限りは。
新人営業パーソンに限ったことではありませんが、適切なタイミングで商品・サービスの機能・特徴についてお話しをしないと、成約を遠のかせるどころか案件を失う可能性を高めてしまいます。
その理由を3つお話しします。
顧客は営業パーソンより情報収集効率が良いかもしれない
1つ目の理由は、顧客自身の行動と関係します。
営業パーソンの皆さま自身が日常で体感しているように、生活や業務へのネット活用は当たり前となり、様々なサービス提供のための機械学習の導入が加速しています。
その中で顧客は自分たちが必要としている課題や課題解決のソリューションを模索する手間は減る一方であり、もはや営業パーソンと得られる情報力に差は在りません。
へたをすると、時間を無駄にしていると捉えられかねません。
顧客にとっては、よりメリットが大きい方が大事
2つ目は、同業他社の動きと関係します。
顧客は、同業他社からもアプローチされ様々な情報を得る可能性は十分にあります。そして、その際機能・特徴に関しても比較対象としてあなたの会社の商品・サービスの情報を得ているとみて間違いありません。
同業他社が比較対象として紹介くれていることは光栄ではありますが、他社より自社の優位性を示し、あなたの会社の商品・サービスは顧客ニーズにアンマッチだと認識させようとしていておかしくはありません。
それにもかかわらず、相変わらず商品・サービスの機能や特徴を話題にすることは顧客にとって有用でしょうか?
その前に、他社の検討も進めているのか、だとしたらどういった段階(星取表でメリット・デメリットを調査済み、など)なのか?を確認する方が重要です。
説得すべきは目の前に座っている顧客だけではない
そして、3つ目は顧客企業の社内稟議と関係します。
最終的には、あなたの窓口となっている目の前の顧客も業務改善、新たな研究・開発に必要なものを揃えるべく企画書・提案書を作成するために商品・サービスの機能や特徴を記載する必要があります。
同時に、直属の上司や他部署のユーザ、更には予算権限のある責任者に対して予算を使って商品・サービスを導入する意義、価値をプレゼンし説明を企画書に加えなければいけません。
予算獲得するためにそれぞれ異なる目的、目標を持った相手を説明し納得してもらうためには、それぞれの相手に理解してもらいやすいようメリットを伝える必要があります。
立場は違っても、企業の目的、目標に紐づいた目的そして目標を持って自分の役割を果たすべく業務を遂行しています。
それぞれの立場にとってのメリットが最終的にどのように企業の目指す指標に寄与するのかを結び付けて説明できることが、納得してもらいやすいはずです。
既存顧客なら機能や特徴の話は求めれた時で十分
ここまで、自社商品・サービスの機能や特徴を話すタイミングとその理由についてお話ししました。
では、既存顧客には当てはまるでしょうか?
間違いなく当てはまるでしょう。
特に、既存顧客の場合は新規顧客とは異なって既に導入実績があります。つまり、社内で導入の効果や波及効果の有無を確認することが出来るわけです。
導入効果が出ていることが確認できれば、営業パーソンだけでなく新規顧客にとって説得力のある強力な材料となります。
そうであれば、あなたの商品・サービスがどのように業務上メリットがあるのかそして企業にインパクトを与えているのか、可能な限り定量的にお伝えすることで新たな顧客の関心を引くことから始めましょう。
機能や特徴は求められた時、具体的にユーザとしてどう使うのかを示してほしいと要求された時で十分です。
その場合でも理由や背景をかならず確認しましょう。
そして、こういう時はまさにYes-and法がうまく使える場面かもしれません。
まとめ
今回は、なぜ自社の商品・サービスの機能や特徴で営業をしてはいけないのかについてお話ししました。
その理由3つ挙げてお話ししました。
- 顧客は、営業パーソンと同程度に十分情報を得ている
- 顧客は、同業他社からはあなたに不利になるような情報を与えられている可能性がある
- 顧客は、社内の様々な異なる立場の関係者に商品・サービスを利用することで得られるメリット、ビジネスインパクトで納得させる必要がある
最後に、商品・サービスの機能や特徴は求められた時に提供すればよいことをお話ししました。ただし、必ず興味をもった背景を引き出してからにした方が良い事もお話ししました。
今回の話題からはやや飛躍しますが、人間は、因果律に従って合理的に(時にはきわめて非合理的・感情的にに)選択し、行動している(と信じている)ようです。
それを常に意識しておく必要がありそうです。
今回も最後までお読みくださり有難うございます。