No.047 リモートワークは営業にとって有利か不利か?
本記事を書いている現在、コロナ禍による緊急事態宣言が延長され、GWが過ぎたばかりです。
いまだ、多くの人が自主的または企業の指示により外出自粛を続けています。
顧客と直接接する営業業務を主な職務とする営業パーソンの皆さまは、従前から外資系企業を中心に自宅から顧客を訪問し直帰するスタイルで働いていました。
国内企業の営業部門でも、大企業を始めとして直行直帰型で出社が必要な時も共有テーブルの空いている席で仕事をするスタイルが増えてきていました。
それが、今回のコロナ禍により企業規模、業態や職種をも問わず(医療やインフラ関連の皆さまは除いて)自宅から業務をこなす必要に迫られました。
企業としては、この変化が半永久的ではないにしても、長い目で見れば今後も同様の状況が起こりえることを想定して労働環境を整備することが急務となっています。その結果、研究・開発、製造現場、あるいはバックオフィス部門の方々にとってはリモートワークというスタイルは目に見えない部分も含めて大きな環境変化ではないでしょうか。
では、営業部門、中でも顧客訪問業務を主な職務にもつ営業パーソンにとってはどうでしょうか?
以下の3つの側面からこの変化による影響を見てみます。
- 対顧客
- 対会社
- 対家族・生活
顧客企業の未来を予測することに時間を掛けてみる
まず、対「顧客」の営業活動はどのような影響を受けるでしょうか?
今日現在、顧客企業自体が社員をテレワークさせているか、ローテーションで出社させてそれ以外はテレワークしてもらう働き方で事業継続を図っています。
そのため、営業パーソンは顧客と直接会う頻度は著しく下がり、一部のネット環境を外向けにも充実させている企業を除けば、電話・メールが主なコミュニケーション手段とならざるをえません。
また、営業パーソンにとっての直接の顧客の先には顧客の顧客(法人、個人いずれか)がいます。直接の顧客は、自分の顧客に対して営業パーソンの皆さまが考えるべき視点を持って、どうすべきかを考えなければいけない立場にあります。
業界や業態によっては、顧客企業自身の顧客の影響で、顧客自体が事業の見直しを迫られるところもあるはずです。当然そこには人員の再配置も含まれる可能性があります。
このような状況下、営業パーソンは少なくとも以下の2点について想像力・妄想力を働かせ、営業・提案活動を工夫する必要がありそうです。
1)如何にボディランゲージ無しで相手に商品・サービスの魅力やメリットを表現して訴求力を高めるか(個人レベルでのデザイン力、文章表現力の強化・向上)
2)直接の顧客の先の顧客の課題解決にどのように寄与できるのか(妄想を働かせる対象の拡張、メンタル面の影響を踏まえた思考)
最低でも組織体制の見直し・変更を想定すべし
次に、自分の所属する「企業」の営業活動への影響はどうでしょうか?
1つ目の顧客をテーマに話した企業に起こりうる変化は、そのまま自分が所属する企業にも当てはまります。
具体的には、この変化が、営業パーソンとしての現在の職務を全うするのか、新たなチャレンジをするのかといった、社内の適材適所について再考し、「働く」ことの意味について自問自答する機会になるでしょうし、今後の営業活動を工夫する上でも積極的に考えていく必要があるでしょう。
そうすることで、所属する営業部門あるいは企業の人的配置を決定した際にも、自ら働き方、生き方を踏まえて自主的に納得感を持ってベストではなくてもベターな選択ができます。
時間を共有することの意味を考え直す良い機会
3つ目は、「家族・生活」の営業活動への影響はどうでしょうか?
1つ目、2つ目のテーマでも既に影響についていくつかお伝えしましたので、ここでは自分自身への影響を中心にお話しします。
やはり、どう生きるのか?自分にとって何が大事なのか?という自問自答への答えから見えてくるということです。
例えば、人生そして家族の中で物事を選択する場面であなたが最終決定者であるうことが共有されているのでればあなたの意思決定から周囲がそれに適応することになります。書斎を確保する、子供と接する時間を確保する、飲み会は週に1回としZOOM飲みに限定する、代わりに外食の頻度を増やす、などなど。
どこに重き(重要度、優先度、あるいは価値)を置くかによりこのような変化に伴う選択は変わってきます。それを誰がどのように決定するのがによっても変わります。家族会議をするにしても、その手続きは決まっているのか、最終的には結局配偶者なのか、など。子供の勉強部屋を用意するにしても同じ。子供の意見を尊重すると言っておきながら、親の一度切りの子供時代の経験さもなくば自己満足に従って決まることが多いはずです。
普段は、このようなことを日常の中でほぼ瞬時に見極めて選択・行動しているはずです。そして一日が終わりまた次の日が始まる。
また、家族それぞれが異なる考え方を持っていますから、一つの選択をするにも簡単にはいかない、何カ月も決まらず保留になったままといったこともあるでしょう。
人生の中で、立ち止まってゆっくり何も考えない時間はよほど強制的に準備していない限りはない、いやむしろそのような時間は勿体ないとか違和感があると考える方が多いのかもしれません。
少しでも立ち止まって自分の人生を振り返ることができれば、今いる自分の立ち位置はそれで納得なのか、変化を求めていないのか、来し方を踏まえて行く末の方向性を再確認できる貴重な貴重な機会になるはずです。
もう一度「兜の緒を締める」感じでしょうか。
著者自身は、自らを見つめる時間を作ったことで、2つのテーマ「お金の知識(ファイナンシャルリテラシー)」と「歴史」について、自らをバージョンアップさせること、加えて子供に大事な事だと認識してもらうことがこの先の世界を生き抜く上で必要なことだという考えを持つようになりました。
まとめ
今回は、コロナ禍に伴う環境の大きな変化がある中で、顧客訪問業務を主な職務にもつ営業パーソンにとって、顧客の多くさえもリモートワークになることが営業活動上有利に作用するかどうか?について3つの側面からお話ししました。
著者としましては、いつもならここでお話ししたこと自体から本来は「営業のヒント」になることを拾い上げて頂きたいと思うところですが、今回はそれ以上にこの記事を読んで下さった方が、今は自身の人生の来し方を見つめ行く末を確かめる貴重な機会なのかも?と思えるきっかけになればとの想いで書き留めました。
今回も、最後までお読みくださり有難うございます。