No.060 営業とカスタマーサクセス
今年は、葛飾北斎の生誕260周年の年。
それを記念して様々な場面で葛飾北斎の著名が作品の露出が見られます。
つい先日も、コンビニで北斎の著名日本画を前面に印刷したお菓子を見かけました。特に「富嶽三十六景 – 神奈川沖浪裏」はなぜか魅かれる版画の一つなのでついつい買ってしまいそうな衝動を必死に抑えるのが大変でした。
アートの著作権の内、パブリックドメイン(Public Domain)として個人使用、二次創作、あるいは商用利用での利用を制限しない扱いになっている作品の場合は博物館やメディアから入手可能になっている作品が世界中にあります。
「富嶽三十六景 – 神奈川沖浪裏」や「富嶽三十六景 – 凱風快晴」など世界的にも知られる葛飾北斎の代表作もこの範疇の作品で、その名にあやかって商品・サービスの認知度を高め収益に繋げることができます。
(ただ、所有権、著作者人格権等についても問題ないかどうかは要確認です。)
同時に、北斎作品を活かしつつ提供する商品・サービス自体の価値を訴求し、長期的にもお客様を幸せにすることに繋がるのかどうかはよく考える必要があります。
さて、今回は営業職とも密接に関わる下記の二つのキーワードについてお話しします。
「カスタマーサポート(Customer Support:顧客サポート)」
「カスタマーサクセス(Customer Success:顧客の成功)」
カスタマーサポート
カスタマーサポート(Customer Support)は、顧客満足実現のため、商品・サービスを購入頂いた後の顧客からの問い合わせを受けて報告された問題に対処する受動的な役割を担っています。
顧客とは主に電話やメールでやりとりをし、顧客からの問い合わせに対しいかに速やかに対応し解決したかが指標となります。
また、業務は多くの場合部署内で完結します。
顧客が直面する課題や不満は、カスタマーサポートの対応により顧客満足度があがり更に自社のファンになってくれるきっかけになりますし、新たなビジネスを生み出す機会と考えられますので、営業部門が積極的にカスタマーサポートと連携する企業も少なくありません。
事業成功のため新たに求められているカスタマーサクセス
一方、カスタマーサクセスという役割が注目され広がりつつあります。
カスタマーサポートと近いのですが、一般的には「顧客を成功させる為に、導入頂いた商品・サービスの価値を最大限に引き出せるよう能動的に支援すること」と言われています。
近年増々、従来の売り切り型のビジネスから、月額性で必要な時に、必要な量だけ利用するという、サブスクリプション型ビジネスがSaaS(Software As A Service)企業を中心に幅広い商品・サービスで広がってきています。
このサブスクリプション化されたビジネスモデルでは、「いかに契約してもらうか」より、「いかに解約されずに使い続けてもらうか」が重要になってきます。
契約・導入前には、営業と連携し顧客ニーズを的確に理解するだけでなく、顧客課題を解決に導くにはサービスをどう利用すれば顧客の成功に繋がるのかを考え企画提案する役割を担います。
また、導入後には、顧客の使用状況やデータ分析から当初想定していた成果が出ているのか、あるいはそこに向かって改善しているのか顧客とコミュニケーションを図り、適宜障害や課題を見出しそれを乗り越える術やそれに必要なアドバイス等を行う役割を担います。
このように購入前から積極的に顧客に寄り添い導入後のサービス利用・運用イメージを具体化したり、利用時の不安や障害を取り除く支援をすることで顧客満足度を高める重要な役割を担う上では、よりコンサルティング能力、データ分析力、製品の深い知識、そして顧客とのコミュニケーション能力など様々なスキルが求められます。
営業職と製品知識豊富な技術職を併せ持つ必要がある商品・サービスもありそうです。
企業によっては、既存の営業やカスタマーサポートの人材の中から人を選びkさすたまーサクセスの役割を果たす部門を新たに立ち上げる所もあるでしょう。
もちろん、カスタマーサクセスの職務をひとくくりにすることは難しく、対象とする顧客企業や業界・職種によって業務内容が異なっていますので、SaaSを提供する企業毎に職種の必要性、そして業務内容を吟味して人材を採用する必要があります。
この職種に興味がある方も、募集要項だけでなく事業内容、現在の組織体制をしっかりと情報収集して適性を見極める必要があることは留意しておきましょう。
まとめ
今回は、顧客満足度を高めるために不可欠な2つの職種、カスタマーサポートとカスタマーサクセスについてお話ししました。
サブスクリプション型ビジネスを展開する商品・サービスが拡大する中、新たな職務の役割についてお話ししました。
有形物を販売する企業にとっては、従来からあるカスタマーサポートが引き続き事業の継続・成功にとって重要な部門であることは変わりません。
同時に、顧客が求めるモノの変化に合わせて求められる職域の存在について注目しておくことは、営業パーソンにとっても「変化」から生じる顧客の課題を見極める上で重要なことだと考えます。
本質的には、モノの所有・消費からコトの利用・体験に価値がシフトしてきた社会の消費者ニーズに応えるための大きな事業環境の変化が起きていることを忘れないようにしましょう。
今回も、最後までお読み下さり有難うございます。