No.057 これからの営業プロセスとは

バングシーというアーティストは、読者の皆様はご存じでしょうか?

著者は、2018年ごろに知人から映画「バンクシーを盗んだ男」が話題に上がったときに初めて名前を知りました。

資本主義という基本思想をテーマの一つにした風刺作品が多く生み出されてきたようです。

ちなみに、バンクシーの作品は、今年の5月から横浜で開催されている展示会で見られるようです。

風刺は、その時々の時代で、見ないふりをしたり無いことにされそうな現実の問題を直視し良き方向・状態になるよう立ち向かってなければならないと注意を喚起する描画とでも言うものでしょうか。

日本では、古くは12,3世紀に「鳥獣人物戯画(通称、鳥獣戯画)」という日本最古の漫画が書かれました。当時の世相を反映した風刺のような絵と言われています。学生の時に国語か歴史の教科書だったかに載っていた蛙や兎が踊っている絵を見たことがあります。

 

営業活動の中でも、現状を把握し目的や目標に照らして見比べる上で、営業プロセスは基本的かつ重要な役割を果たします。

 

今回は、営業視点に加えて顧客視点の両方のプロセスに注目してお話しします。

 

営業プロセスはすべての基礎

いつものように、まずは定義からみてみましょう。

営業プロセスとは、一般的に顧客との接点から契約が成立するまでの一連の流れ・過程のことです。

より実務的には、この過程を細分化して整理したものを「営業プロセス」と呼んでいるでしょう。

「アポイント」⇒「訪問」⇒「ヒアリング」⇒「提案」⇒「契約」

これらプロセス毎の施策やアクションは、時代や企業毎に異なります。

このようにプロセスを可視化させる一番の目的は「効率化」であることは言うまでもありません。

ビジネスの世界では、因果律に基づいて理解・解釈し浮き彫りになった課題に取り組むことで望ましい成果を生み出そうとする「合理性」が前提になっています。

とすれば、有限のリソースの中から最小限の労力で最大成果を生み出すにはどうするか、つまり自社の利益を最大化して更なる満足頂ける顧客を増やし続けるエンジンとなるにはどうするか、という問いに答えることが事業プロセスの一部である営業にも求められます。

自分自身の人生で、利活用できる有形無形の資産・資金をいかに増やせるか?を考えることと似ているでしょうか。

(資本主義による社会経済の基本的な重要な考え方の一つです。もちろんそれがすべてだとは思ってはいません。)

 

つまり、営業パーソンにとっては営業プロセスは空気のような存在であり、そこから得られる事象や知見に基づいてより望ましい成果を生み出すべく分析、熟考、試行錯誤や挑戦に対して費やす労力そのものが営業活動のすべてだと言えます。

そのためにも、プロセス毎の連関を理解し、各プロセスや施策を評価できるような指標を把握しておくことも重要となります。

 

コロナ禍で迫られる変化は営業プロセスだけではない

その意味では、コロナ禍によってこれだけ直接の面談を避ける対応が当たり前になってくると、各プロセスの施策やそれに伴う評価指標に大きな影響が及ぶことは当然です。

そんな中で成果を上げるためになにができるでしょうか?何をどう変えて行く必要があるでしょうか?

場合によっては営業プロセスの見直しも必要かもしれません。

ただ、これまでも顧客の購買プロセスの把握の重要性は言われてきており、中でも決裁権者や購買責任者の把握や直接面談による交渉により自社提案を優位に運び成約に繋げるにはどうするかという様々な取組みは議論され実践されてきました。

双方がリモートワークやオンラインミーティングを前提とする中、成約に向けて案件を進展させるため主に以下の2つが対策として挙げられます。

①面談の前段階から現状維持への危機感を高める情報発信の場やコンテンツを増やす

②顧客側の業者選定基準や稟議などの購買プロセスの変化を把握する

 

①面談の前段階から現状維持への危機感を高める情報発信の場やコンテンツを増やす

顧客が複数社からの提案を比較検討する際に利害関係者で共有する資料も、見やすさ、理解しやすさが会議室でプロジェクタで移してみる時と異なる場合もあるでしょうし、いつもなら出てくる質問がその場で出ないといったことも考えられます。

これは、顧客によらず共通の問題でもありその解消のためには、ウェブコンテンツやホワイトペーパーの充実、あるいは情報へのアクセスし易さの改善といった工夫によりオンライン面談に進む前に顧客側での問題意識や購買意欲を高める施策が欠かせないでしょう。

更には、オンラインセミナーの開催、SNS広告や動画広告の配信等によりオンライン上で顧客接点を持つ人材の露出を増やして顧客に慣れさせることも大事な施策の一つです。

いずれにしても契約までのリードタイムは長期化していますので、その間の貴重な時間を有効に活用しない手はありません。

 

②顧客の業者選定基準や稟議などの購買プロセスの変化を把握する

顧客側でもオンラインで社内稟議プロセスを流すといった不慣れな取組みをしているはずですから、そこでの不満や課題も掴み取って決裁権者や業者選定責任者を交えたオンライン商談に向けて対策を講じることも必要です。

これらは、実は自社の社内会議や上司との面談、他部署との折衝の際のオンラインミーティングで自分自身も感じている部分であり共感できる面があるでしょう。であれば、感じたことや学びを顧客とのコミュニケーションに活かさない手はありません。

「慣れ」の問題と考えることもできますが、意思決定をする立場にある方々が皆デジタル化・オンライン化に直ぐに順応していけるとは限りません。逆に、プロセスの一部をアナログ的に対応させるよう指示してくる可能性も考えられます。

自分の両親や祖父母とのコミュニケーションを考えて見ればデジタル化への対応の壁は想像に難くないのではないでしょうか。

更に、基本的なところで言えば、オンライン面談のオープニングで前回の打ち合わせの振り返り、不明点の解消、アクションアイテムとその進捗の確認をし、またクロージングでも振り返りとアクションおよびそのオーナー、期日を確認し次回の打ち合わせを設定するといったことを漏れなく実施することが重要であり、顧客に安心感を与え信頼醸成にも繋がります。

オンラインと言っても、メール、電話、オンライン会議ツール、チャット等の手段がありますのでそれぞれを営業プロセス上の目的に合わせて使い分ける柔軟な思考が必要でしょう。

 

まとめ

今回は、「営業プロセス」を取り上げました。

デジタル化やオンライン化がコロナ禍も加わって加速する中で、どのようなプロセス上の変化に対応していく必要があるのかをお話ししました。

変化への対応は、主に以下の2つの点に集約されることをお話ししました。

①情報発信の場やコンテンツを増やす
②購買プロセスの変化を把握する

コロナ禍だからこそ自社内のリソースや直面する課題から具体的な変化への対応の施策のヒントが見えてくるとお話ししました。

 

今回も最後まで読んで下さり有難うございます。

 

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