No. 034 営業パーソンに法律の知識はいらないのか?

唐突ですが、営業パーソンに「法律」の知識は必要でしょうか?

既に様々なビジネス実務に関連した法律知識を獲得し業務で活用している営業パーソンの方々は、本記事に目を通す必要はありません。

他方、必要性はありそうだけど営業活動に不可欠な商品・サービスの知識や業務そのもの習得することが最優先だと考える営業パーソンにとっても、法律の知識の習得は二の次になるでしょう。

そこで、上記に当てはまらない方を対象に、営業パーソンとって役に立つ法律の基礎知識についてお話しします。

今回は、「債権」についてお話しします。

また、どのように営業活動にかかわるのかを紐づけてお話ししていきたいと思います。

聞きなれない言葉も出てくると思いますが、ご容赦ください。

 

契約成立によって生じる債権と債務

債権と債務

債権」とは、「民法」というで定めた人に対する権利・義務に関するルールの1つで、人に対する権利(請求権)のことです。

より正確にいうと、特定の人が特定の人に特定の行為や給付を請求できる権利となります。

一方、「債務」とは、特定の人が特定の人に特定の行為を提供、あるいは給付しなくてはならない義務となります。

簡単な例として、スマホを購入することを考えて見ましょう。

売主と買主の間で、売主による「買いませんか?」という意思表示と買主による「買います!」という意思表示の合致により、スマホの「売買契約」が成立したとみなします。(民法522条、契約の成立条件 について定めた条項を参照)

すると、ここには個人間の「約束」とは異なり両者に法的な拘束力が発生します。

具体的には、売主には、「債務者」としてスマホを買主に提供する義務が発生しますし、「債権者」として買主からスマホの代金を請求できる権利が発生します。

同時に、買主には、「債務者」として売主にスマホの代金を支払う義務が発生し、「債権者」として売主からスマホを引き渡しを請求できる権利が発生します。(民法555条、売買契約の要件と効果 について定めた条項を参照)

これは、個人間だけでなく法人間の商品・サービスの取引においても当てはまります。

 

契約書の存在意義

前述のように、民法の規定により双方の意思表示の合致により契約は成立し法的に拘束力があるにもかかわらず、ぜわざわざ契約書に署名する必要があるのでしょうか?

これは、後日、「言った!」「言ってない!」の争いが生じないよう意思表示の合致の証拠を残しておきたいからです。

また、法人(企業)間の取引の場合、自身の利益を損なわないようにするためのルール・規定があるため、規定されている条項が利益相反することもありえます。

そのため、各法人企業は、それぞれの企業の考え方・ビジネスモデルにあった支払い条件等を「販売条項」、「売買契約書」あるいは「基本取引契約書」などの形で文書化し、自社に不利益がないようまた効率よく契約締結プロセスを進められるよう備えているわけです。

 

債権の管理と回収

ここまで、売買契約とそれにともなう法的な拘束力についてお話ししました。

ここからは、その拘束力の一つ債権に焦点を当てて解説します。

 

商品・サービスを提供する企業Aは、商品・サービスの提供を受ける顧客企業Bと売買契約が成立した際には、対価として売買代金を請求する「債権者」であり、同時に商品・サービスを提供する義務を負う「債務者」でもあります。

仮に、顧客企業Bが売買代金の支払いに対して、支払期限を過ぎるなどの債務の不履行が生じた場合、商品・サービスを提供する企業Aは、民事執行法その他強制執行の手続に関する法令の規定に従い、直接強制、代替執行、間接強制その他の方法による履行の強制を裁判所に請求することができる とあります。(民法414条 履行の強制 を定めた条項を参照)

ただ、少なくとも日本においては、不履行の状態を把握した時点で即座に債務者に通知しまた履行を催促することということはなく、一般的に、不履行と判断できる日(見積書や請求書に記載の支払期日)以降、一定期間を置いて催促あるいは督促の文書をお送りし債務履行を促すのが商習慣になっています。

いわゆる大企業では、そのような債権の回収はシステム化されており人が介在することはまずありません。

ただ、海外企業の支店が展開していますし、企業も国内のみならず日本と違った商習慣を持つ国外の企業との取引をする企業も増えています。

取引、つまり債権回収に対するリスク管理の感度が高い企業であれば、人同士の信頼関係以上に契約関係に重きを置いて事業展開する企業も少なくありません。

今や、個々の企業の経営判断により経理部門、財務部門、あるいは営業部門等が債権(つまり売掛金)の早期回収のために顧客に連絡したり当該部門を訪問して交渉することは十分にありえると考えるべきです。(筆者自身、営業の職務の一環で顧客担当者様に債務の履行を催促する機会がありました。)

 

営業パーソンとしては、顧客との信頼関係を無視して顧客の良きパートナーになることは難しいものです。

普段から法律を前面に出して顧客との商談に向き合うというよりは、いざという時のために法的な背景を理解しておき、必要に応じて交渉や説得材料の一つにするといったスタンスで業務に向き合うことが望ましいでしょう。

 

まとめ

今回は、営業パーソンにとって身近な「売買契約」をテーマにお話ししました。

また、基本的かつ重要な売買契約によって生じる「債権」について解説しました。

会社が用意しているから、先輩がそうしているからではなく、自分自身で契約手の続きをする意味、またしない場合の取引の意味やそれによるメリット・デメリットを認識した上で、顧客企業と自社が相互にビジネスメリットがあるように取引を実現させることができれば、必ず営業パーソンとして存在価値を感じてもらえるはずです。

 

次回は、法律の知識シリーズ第2弾として、債権履行の具体的な行動である「決済」、「弁済」についてお話し致します。

 

今回も、最後まで読んで下さり有難うございます。

 

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