No.042 応酬話法の極意 1/3

今回から、いくつかに分けて応酬話法についてお話ししていきます。

前回の記事の繰り返しですが、応酬話法とは「顧の質問や意見などに対して応答するための基本的なセールストーク」と説明しました。

この話法は、断りや反論で諦めてしまうことなく、顧客との信頼関係を築き、更には成約率を高めることができる営業にとって有用なスキルになるはずです。

一つ忘れてはならないことは、ここでも顧客の「心理(心の状態、感情)」や「立場」をしっかり踏まえられるかどうかという点です。

 

応酬話法の基本

応酬話法が必要とされる背景は、特に新規顧客開拓の際に直面する商談の場面があげられます。そもそも顧客が聞こうとする姿勢にない中で会話を展開しなければならないことへのプレッシャーが大きな要因です。

顧客からしてみれば、目の前の業務で手一杯の中時間を割かれるわけですから、顔見知りでもなければ喜んで出迎えることは稀です。

予定外に営業パーソンを出迎えた時の顧客の心理状態はどうのようなものでしょうか?

「今忙しいのに」

「面倒だなあ」

が頭に浮かんで来たでしょうか?

自分が同じ立場にあればどうするのか、容易に想像できるはずです。

そして、断るセリフを思い浮かべているのではないでしょうか。


つまり、営業するからすれば、顧客のその心理状態では、買わない理由、買おうとしない理由を払拭しなければならないわけです。


ここから、いくつかの応酬話法を紹介しますが、話法を用いたトークの展開に共通するポイントは、以下の2点です。

  • 買わない理由を発現する背景や思い込みを受け止め、理解する
  • その上で、うまく切り返す。

 

それでは、早速見て行きましょう。

6つの応酬話法

(1)肯定法

方法というほどではありませんが、仕事に限らず親子、友人、親戚あるいは近所の人間関係の基本でもある「肯定法」です。

まずは、 営業側からの問いかけに対して決まったセリフが帰ってくることは皆さんある程度想定しているでしょう。

  • 「間に合っています」
  • 「必要ありません」
  • 「今、時間がないので」
  • 「今は取り込んでて忙しいんだよ」

これらの顧客の発言の趣旨を一旦は受け止めることが大原則です。

以下受け止めの発言例です。

  • 「それは良く分かります。」
  • 「確かに、そう思われますよね。」
  • 「そのとおりですね。」
  • 「おっしゃる通り、〇〇ですよね~(〇〇には断りの言葉が入る)」

 

特に営業パーソンではここは外してはいけない対応です。

何かにつけて「だって」、「でもさ」あるいは「ええ~」などが口癖になっている人は、気を付けましょう。

 

(2)例話法

次は、汎用性が高く不利な状態を効果的に覆すことができる「例話法」です。

この話法の狙いは、顧客に顧客自身の問題として捉えていただく、気づいていただくことです。

これには、顧客に「こういった需要、不安を抱えているのは自社(や自店舗)だけではない」と安心してもらう、あるいは不安を和らげる効果があります。
 

「例えば、同業種で同じような課題をお持ちの企業様にもこのサービスはご利用頂いております。」

「実は、同業他社様では実際設備投資額を3割抑えることが出来ております。」

「業界トップの飲食店経営企業の直営店でも新規顧客の滞留時間が短い問題でお悩みでしたが、弊社サービスをご利用頂いており大きな成果を上げております」

 

「うちは開店してまだ2カ月だし、ぐるなび契約してネット集客を始めてるから今は必要ないよ。」
「なるほどですね。開店当初で既に集客体制も充実させているんですね。」

「お客様のようにネット予約サービスをご利用していた開店3カ月のあるお店では、お客様の客足が想定よりも伸び悩みました。そこで、予約サービスサイトの画像や文言に変化を加えるも改善せずに月に15万円も固定費で飛んでいく状況に不満と危機感を感じて、解約して違う集客方法を模索することになりました。


具体的な判断根拠のある事例情報を交えて話すとより興味を引いてもらいやすくなるはずです。

 

まとめ

今回は、応酬話法の6つの手法のうち2つの話法についてお話ししました。

 (1)肯定法

 (2)例話法

まず、基本中の基本として顧客がどのような発言をしたとしてもその趣旨を一旦は受け止めて、あなたの敵ではないと感じてもらう「肯定法」をご紹介しました。

次に、顧客以外でも同様の問題を抱えた企業や店舗があることを伝え、冷静に自分の問題として捉えて頂くことで営業パーソンへの心理的な障壁を下げる「例話法」をご紹介しました。

 

次回は、以下の2つについてお話しします。

 (3)Yes but法

 (4)Yes and法

 

今回も最後までお読みくださり有難うございます。

 

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