No.052 オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの使い分け 2/2

前回に引き続き今回も、営業中お客様が抱えている課題をなかなか引き出すことができないという悩みを解決するための施策として質問の仕方の工夫についてお話しします。

前回は「オープンクエスチョン」という質問方式についてお話しました。

今回は、「クローズドクエスチョン」について、そして2つの方式の使い分けについてお話しします。

 

クローズドクエスチョンの特徴

クローズド(closed)という言葉は、閉じた、限定したという意味で、文字通り「クローズドクエスチョン」は、回答範囲を限定した質問のことです。

2つないし3つの選択肢から選択してもらう質問方式で、相手の明確な意思を確認することが目的です。

会議や会話の進行をコントロールしたり不明点の有無を確認したりする時に使います。

また、情報の確からしさや方向性、傾向を把握する時にも使えます。

例えば、競合と接戦の時に候補に残っているかどうかを確認したい、予算枠を把握したい、あるいはそもそも担当のお客様が前向きに検討してくれているのかを確認したい時などにもクローズドクエスチョンの質問が活かせます。

さらには、飛び込みや初対面のお客様との面談の時には、何回か言葉を交わして相手の感触を確かめるために使うと有効です。

その際、「はい」や「そうですね」といったネガティブな回答にならないよう質問を工夫することも大事です。

場面ごとにいくつか例を挙げてみましょう。

  • 面談のオープニング
    • 「今日は、雲一つなくとても良い天気ですね?」
    • 「SpaceXがとうとう国際ステーションにドッキングしましたね。ニュースご覧になりましたか?」
    • 「(名刺を指して)このロゴは初めてみます。社員の皆様の名刺に入っているんですか?」
    • 「来社のため最寄りのバス亭に着くと貴社の社員の方がたくさん下車されました。お客様はバス通勤ですか?」
  • 面談の最中
    • 「今お伺いした問題は、直属の上長の方にとっても気にされている事ですか?」
    • 「今回のご提案は、お客様の予算権限の範囲でご判断頂ける内容でしょうか?」
    • 「ここまで弊社事例をご紹介しましたが、なにか不明点ございますでしょうか?」
  • 面談のクロージング
    • 「本日のアジェンダは一通りカバーしたつもりですが、補足しておきたい点はございますでしょうか?」
    • 「来週木曜のお打合せは、午前中と午後ではどちらがよろしいですか?」

 

オープンクエスチョンとの使い分け

ここまで、オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンについて特徴、使い方とその例文をお話ししました。

次に、これら2つの形式の質問をどのように使い分けるかについてお話しします。

営業パーソンにとっては、面談によって「お客様が解決したい課題を浮き彫り」にすることが主な目的ですので、お客様との「信頼関係を構築する」ことが重要となります。

そのために、お客様が「心を開いた状態で」赤裸々に社内事情やお客様自身が感じていること、更には最終的には会社として解決したい課題やそのヒントになる情報を話してもらうために適時適切な質問をすることが求められます。

 

面談初期には、クローズドクエスチョンを2,3つ投げて少しでも打ち解けた状況を作ります。「アイスブレーク」と言われますね。

この段階では、劇的な成果を期待する必要はありません。淡々とクローズドクエスチョンに対する回答があるだけでもお客様の声のトーン、音量、顔の表情から読み取れることはあるはずですし。

お客様がお話好きだと分かれば、オープンクエスチョンを交えてお客様に話を広げてもらうようにしましょう。

具体的に商談に入った段階では、まずはオープニングクエスチョンで現状をお伺いするところから始めます。

これ以降は、お客様の考え、その背景、本音などを引き出すために5W1Hを質問を織り交ぜていきます。

時には、回答の内容が曖昧だったり、分かりにくかった場合には、クローズドクエスチョンで明確にしたり、「もう少し詳しく教えて頂けますか?」などのオープンクエスチョンで深堀したりします。

 

使い分けに関する留意点

クローズドクエスチョンは、質問し過ぎると相手に不快感を与えることもありますので、オープンクエスチョンを交えて自分は出来る限り聞き役になりましょう。

一方、オープンクエスチョンは、上記のように自由にお話し頂ける分その内容が分かりにくいこともありますし、思わぬ方向に話が展開してしまう可能性もあります。

適宜、「話を〇〇の状況(や問題)に戻しますが、。。。」などと軌道修正のコメントを入れて深堀りをしていきましょう。

 

営業パーソンとしては、面談中は常に「お客様の心の状態」と「課題発見に至る筋道」の2つを意識して質問を投げかけ会話を導く工夫が大切です。

 

まとめ

今回、そして前回の2回で営業中お客様が抱えている課題をなかなか引き出すことができないという悩みに対する解決策の一つとして、「オープンクエスチョン」と「クローズドクエスチョン」の使い分けについてお話ししました。

成約に至る道のりの前半では、オープンクエスチョンを活かして、お客様と一緒に、最終的にお客様自身に解決したい課題に気づきそれを明確に認識してもらう工夫が必要であることをお話ししました。

次に、本記事で回答範囲を限定した質問、つまりクローズドクエスチョンで面談序盤でお互いに打ち解ける状況を作り、また商談中はお客様の意思や情報の確からしさの確認をする工夫をする必要性についてお話しました。

更に、それぞれの質問の特徴から留意すべき点についてお話ししました。

 

大切なことは、常に「お客様の心の状態」と「課題発見に至る筋道」の2つを意識して質問を投げかけ会話を導くことです。

加えて、大前提として、なぜ今時間を割いてまで営業パーソンであるあなたの話を聞かねばならないのかをしっかりお伝えておくことがその後の会話の展開を左右することは忘れてはいけません。

 

今回も、最後までお読みくださり有難うございます。

 

この記事をシェアする